エリアでこんなに違う?
7都県で民泊向き物件の見極め方を
民泊PROが徹底解説
【2025年最新情報】
はじめに:民泊成功の9割は「物件選び」で決まる
あなたのやりたい民泊は、本当にそのエリア、その物件で実現できますか?
「駅から近いから」「観光地に近いから」「不動産会社が大丈夫と言ったから」… そんな理由だけで物件を選んではいませんか?
よくある失敗パターン
- • 契約後に民泊禁止の条例が判明
- • 想定した営業日数で運営できない
- • 消防設備の設置で予算オーバー
- • 近隣住民からの苦情で営業停止
成功する物件選びのポイント
- • 法律的に営業可能かの事前確認
- • エリアの需要特性を理解
- • 自治体の条例を詳細に調査
- • 専門家による契約前チェック
この記事では、民泊PROの専門的視点から、関東一都六県における民泊物件の見極め方を 「法律的に可能か」と 「事業として成り立つか」の 2つの軸で徹底解説します。単なる人気エリア紹介ではなく、 各地域の法規制と需要特性を踏まえた実践的なガイドとして、 あなたの民泊事業成功をサポートします。
全エリア共通!民泊物件選びの「5大基本チェックリスト」
エリア別の解説に入る前に、まず全国共通で押さえておくべき基本的な前提知識を確認しましょう。 これらの基準をクリアしていない物件は、どんなに立地が良くても民泊として利用できません。
1 用途地域:そもそも民泊が許可される地域か?
重要ポイント:工業専用地域では民泊営業は不可能です。 また、第一種・第二種低層住居専用地域では、自治体の条例により 営業期間が大幅に制限される場合があります。
- ✓ 都市計画図での用途地域確認
- ✓ 住居専用地域での営業制限の有無
- ✓ 商業地域・準工業地域での営業可否
2 消防法令:物件の構造・規模に応じた消防設備
2025年1月改正:延べ面積200㎡以下の小規模施設では 消防設備要件が一部緩和されましたが、自治体により異なる場合があります。
- ✓ 自動火災報知設備の設置義務
- ✓ 消火器の配置・種類
- ✓ 避難経路の確保・誘導灯設置
- ✓ 消防署への事前相談
3 管理規約(マンションの場合):民泊禁止条項の確認
トラブル防止のため:分譲マンションでは管理組合への 事前確認が必須です。後から判明した場合、大きな損失となります。
- ✓ 管理規約の民泊関連条項確認
- ✓ 管理組合への事前相談
- ✓ 近隣住戸への事前説明
- ✓ 賃貸の場合は大家さんの承諾書
4 建物の適法性:違法建築・耐震基準の確認
2025年4月改正:建築基準法改正により、 違法建築での民泊営業に対する罰則が強化されます。
- ✓ 建築確認済証・検査済証の有無
- ✓ 違法建築・違法改築の確認
- ✓ 耐震基準適合証明書
- ✓ 用途変更手続きの要否
5 事業計画との整合性:ターゲット層と物件の適合性
収益最大化のコツ:想定するゲスト層と、 物件の立地・設備・間取りが合致していることが重要です。
- ✓ インバウンド vs 国内ビジネス客
- ✓ 単身 vs ファミリー vs グループ
- ✓ 短期滞在 vs 中長期滞在
- ✓ 必要設備・アメニティの整備
【エリア別】7都県で狙い目の物件・立地と注意すべき条例
ここからが記事のメインコンテンツです。各都県の特性を 「需要特性」、 「狙い目の物件」、 「注意点(特に条例)」の 3つの観点から詳しく解説します。
3.1 東京都|ハイリスク・ハイリターン。条例の理解が最重要
需要特性
- • インバウンド観光客
- • 国内ビジネス客
- • イベント参加者
- • 長期滞在者
- • 世界トップクラスの集客力
狙い目の物件
- • ターミナル駅周辺マンション
- • ワンルーム〜2LDK
- • アクセス良好な戸建て
- • 山手線沿線物件
- • 地下鉄複数路線利用可能
注意点
- • 23区ごとに条例が異なる
- • 住居専用地域での営業制限
- • 平日営業禁止の区域
- • 厳格な現地調査
- • 契約前の専門家調査必須
【最重要】東京23区の上乗せ・横出し条例の具体例
新宿区
住居専用地域では月曜日正午〜金曜日正午まで営業禁止。 実質的に土日のみの営業となり、年間180日の大幅な制限。
渋谷区
住居専用地域での営業期間が冬休み・春休み期間など非常に短期間に限定。 年間数十日程度の営業のみ可能。
台東区
管理者常駐または家主居住型でなければ土日・祝日・年末年始のみ営業可能。 職員による現地調査が厳格。
結論:東京23区内で民泊を検討する場合、物件の契約前に必ず行政書士等の専門家による条例調査が必須です。 「不動産会社が大丈夫と言った」だけでは、後で大きな損失を被る危険性があります。
3.2 神奈川県|都市型とリゾート型の二刀流
需要特性
- 都市部:
- • 横浜・川崎のビジネス客
- • みなとみらい観光客
- 観光地:
- • 箱根温泉・リゾート需要
- • 鎌倉・湘南の観光客
狙い目の物件
- 都市部:
- • 横浜駅・川崎駅周辺
- • みなとみらい地区
- 観光地:
- • 箱根の温泉付き物件
- • 鎌倉の古民家
- • 湘南のオーシャンビュー
注意点
- • エリアごとに条例が異なる
- • 箱根町の営業日数制限
- • 横浜市の住居専用地域制限
- • 温泉地特有の規制
- • 観光地の繁忙期制限
箱根町の特別な規制について
箱根町では、観光地としての環境保護と住民の生活環境維持のため、 「神奈川県住宅宿泊事業法第18条の規定による住宅宿泊事業の制限に関する条例」 により、特定期間の営業が制限されています。
制限期間例:7月20日〜8月31日、12月29日〜1月3日など、 観光繁忙期には営業が制限される場合があります(詳細は町への確認が必要)。
3.3 埼玉県・千葉県|都心へのアクセスと独自需要を狙う
需要特性
- • 東京都心への通勤拠点
- • さいたまスーパーアリーナ
- • 幕張メッセ・ZOZOマリン
- • 成田・羽田空港利用者
- • ディズニーリゾート需要
- • コスト重視の長期滞在
狙い目の物件
- • 大宮・浦和駅周辺
- • 千葉・船橋駅周辺
- • 海浜幕張地区
- • ファミリー向け戸建て
- • 空港アクセス良好物件
- • 駐車場付き物件
注意点
- • 市町村ごとに条例が異なる
- • 年間180日の制限
- • 消防法令の適合確認
- • 近隣住民への配慮
- • 東京との差別化が必要
埼玉・千葉エリアの成功戦略
埼玉県のポイント
- • 新幹線・JR線のアクセス活用
- • イベント会場への近接性
- • 東京より安価な料金設定
- • ファミリー層をターゲット
千葉県のポイント
- • 空港アクセスの良さをアピール
- • ディズニー需要の取り込み
- • 海浜エリアの魅力活用
- • 幕張メッセ関連需要
3.4 茨城県・栃木県・群馬県|「体験価値」で差別化する地方戦略
需要特性
- • 日光(世界遺産)観光
- • 草津・鬼怒川温泉
- • 自然体験・グランピング
- • サイクリング・ハイキング
- • インバウンド地方周遊
- • 農業・文化体験
狙い目の物件
- • 古民家・伝統家屋
- • 温泉付き別荘
- • 農家体験可能な家
- • 大人数対応貸別荘
- • 自然豊かな戸建て
- • 駐車場完備物件
注意点
- • 車社会のため駐車場必須
- • 「駅近」の概念が異なる
- • 運営代行会社が少ない
- • 自主運営体制の構築
- • 明確なコンセプト設定
地方民泊成功の3つのポイント
1. 体験価値の創出
単なる宿泊場所ではなく、「その場所でしかできない体験」を提供。 農業体験、温泉、自然散策などの付加価値が重要。
2. アクセス配慮
車でのアクセスを前提とした立地選択。 最寄りICからの距離、駐車場の台数、道路状況の確認が重要。
3. 運営体制
運営代行会社が少ないため、自主運営を前提とした体制構築。 清掃、鍵受け渡し、緊急時対応の仕組み作りが必要。
重要:茨城・栃木・群馬エリアでは、都市部と同じ基準で「駅近」を重視してはいけません。 むしろ、ターゲットが求める「体験」の場所に近いことが最も重要です。 明確なコンセプトと差別化戦略を持って物件を選定しましょう。
まとめ:あなたの理想の民泊は、どのエリアで実現しますか?
エリア | 主な需要 | 狙い目物件 | 規制レベル | 初心者向け度 |
---|---|---|---|---|
東京都 | インバウンド ビジネス客 |
ターミナル駅周辺 マンション |
★★★★★ | ★★☆☆☆ |
神奈川県 | 都市型観光 リゾート需要 |
横浜駅周辺 箱根温泉物件 |
★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
埼玉県 | 都心通勤拠点 イベント需要 |
大宮・浦和駅周辺 ファミリー向け |
★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
千葉県 | 空港利用者 ディズニー需要 |
千葉・船橋駅周辺 海浜幕張地区 |
★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
茨城県 | 自然体験 農業体験 |
古民家 体験型物件 |
★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
栃木県 | 日光観光 温泉需要 |
温泉付き別荘 大人数対応 |
★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
群馬県 | 草津温泉 自然散策 |
温泉地物件 貸別荘 |
★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
物件選び成功の3つの鍵
1. 徹底的な事前調査
「儲かりそう」という情報だけでなく、法規制・需要・競合を総合的に調査
2. 明確なコンセプト
「自分のやりたい民泊スタイル」を明確にし、それに適したエリア・物件を選択
3. 専門家との連携
契約前の法規制チェックで、時間とお金の無駄を防ぐ
最終的な判断基準
物件選びは、「儲かりそう」という情報だけでなく、 「自分のやりたい民泊スタイル」と 「法規制」を照らし合わせることが最も重要です。 「この物件はどうだろう?」と思ったら、契約・購入前に必ず専門家に相談することが、 時間とお金を無駄にしない最善策です。